SCHOLE INC. | 空想世界と日々の暮らしYoshinori Takezawa × Paniyolo
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空想世界と日々の暮らし
Yoshinori Takezawa × Paniyolo

 


 

2012年1月にSCHOLEよりデビューアルバムをリリースした武澤佳徳(yoshinori takezawa)。 絵描きという側面も合わせ持ち、音楽家という事をあまり意識していないと彼は言う。絵を描く様に音を散りばめ、混ぜ合わせ、重ねる。この独特の感覚から生まれる作品はそのどれもが幻想的な輝きを放ち、様々な夢を鮮やかに彩る。その作品は、現在の彼自身のクリエイティビティの充実と素晴らしい才能を十二分に物語っている。そんな武澤と旧友でもあり4月に2ndアルバムをリリース予定のPaniyolo(高坂宗輝)。自身の追求する音楽へのこだわりの強さから生まれるギターサウンドはさらに深みを増し、そのゆったりとした人柄が良く表れている。『日々の生活の中にある小さな幸せを感じ、思う事』をコンセプトとして楽曲制作をしていると言う通り、いつのまにか誰かの生活に寄り添い、馴染んでしまいそうな透明感のあるサウンドに仕上がっている。 空想の世界から聞こえてくる音楽と、日々の暮らしの中から聞こえてくる音楽。そしてスタイルの違いを超えて、2人が共有する感覚。 プライベートでも親交が深く、旧友の中である二人だからこその対話をどうぞお楽しみ下さい。

 


 

SCHOLE(以下 : S)・二人は友人になられて長いと思うのですが(SCHOLEを立ち上げたとき、既に友人でしたね)、どの様なきっかけで、いつ頃出会われたのでしょうか?

Paniyolo(以下 : P)・出会いは、20歳頃やっていたバイト先でしたね。遅刻して行って、『すいません』とタッキーに謝ってたよね。

Yoshinori Takezawa(以下 : Y)・なぜか(自分が)チーフだったよね。

P・その休憩中に色々音楽の話をして、『どんな音楽を聴くの?』って話から始まり、結局『音楽がやりたい』なんて話をしてたけど、その時はコピーバンドでも何でも良いからやりたくて、それをタッキーに話したら『俺もやりたい』と言ってくれたので一緒に何かやる事にしました。楽器屋にメンバー募集の張り紙を出した事もあったよね。

Y・良く覚えてるね。(笑)でも結局見つからなかったよね。それで、2人でいいんじゃない?ってなった(笑)。自分はDTMをやり始めた頃かな。

P・タッキーは最初からオリジナルをやろうとしていたらしく・・・だけど自分は録音の仕方もわからなかったから、MTRや音楽ソフトの事(プラグインがどうとか)を1から教えてもらいました。最初は何を言っているのかさっぱりで。

S・おもいっきりド素人じゃないですか!笑

P・一緒に楽器屋へ行って、タッキーに薦められたジャンク品の4トラックのMTRを買ったよね。最初はロックっぽいのを作っていました。それは単にまだマイクを持っていなくて、エレキギターやベースを直接MTRに突っ込んで録音するって事しかできなかったから。宅録を始めたての人ってそういう所から始まるんじゃないかな。

Y・元々パニさんがやっていたのはクラシックだもんね。俺とは相当違うな。俺はメタルとかもやってたし。笑

S・話を割って申し訳ないのですが、そもそもパニさんがギターを始めた理由って何ですか?

P・ギターを始めるきっかけって、こういう場合は多いと思うんだけど、親が買ったギターが家にあったからです。音楽に興味が出たのは中学生からで、最初はスピッツが好きになって適当にコピーしてたんですけど、ちゃんと基礎を学びたいなと思ってギター教室を探したら近所にクラシックギター教室しかなかったんです。クラシックギターを学べばロックギターだってできるだろう、なんて事を思ってたんですけど、、ずっとクラシックギター中心に音楽をやっていたので、エレキを弾いてもロックにならない(笑)。結局ロックには行かず今に至ります。

S・なるほど。では、タッキーの音楽始めたきっかけは?

Y・中学校の音楽の時間に選択でクラシックギターの授業があって、それがきっかけで始めたのかな。その後はバンドブームにのっかって、バンドスコアを見ながら練習してたね。音楽をやりだした当初は、友人に誘われてビジュアル系や洋楽のハードロックなんかをバンドでコピーしてたけど高校を卒業する頃にはバンド活動は辞めちゃって。パニさんと会う前あたりから音響系とかアコースティックな音楽にすごい興味が出てきて、こういう曲なら自分1人で作れるかもって調べるようになったのかな。読む本もバンド雑誌からサンレコに変わってた。(笑)

S・その様な過去を歩んできた2人が作った作品がそれぞれ今年の1月、4月にリリースされるわけですが、どの様なアルバムを作られたのか説明をお願いしても良いですか?

Y・パニさんとバンド活動を再開しようと思ったけど、その時は結局形にならずお互いソロの活動を始めました。と言いつつ自分の場合はそれからしばらくは音楽制作には手がつかず、絵に加えて映像を作る方に興味がいってしまい…。絵の展示や映像ではビデオカメラで素材を撮りmacで加工したりと研究していました。そしてパニさんがソロでライブをするようになり、フライヤー制作と映像担当で参加してました。mona recordsでのパニさんの初ライブの時にharuka君達にも出会い、nica(現 kadan)で初期の頃のVJとして参加していました。そうやって音楽活動している人たちの輪が近くに増えていき良い刺激となっていき、リリースとか意識は全く考えずに毎日ただスケッチするように音を置いていくことを始めていました。作る過程は絵を描くのと似ていて、例えばリバーブで音が広がっていく事と水彩絵具で色が滲んでいく事は同じように感じるし,モデリングペーストを使えばギミック的な音作りだったり…自分は色々と物作りをするけど、最終的に出来上がる物が異なるだけで、すべて一枚の絵を描いていくのと同じです。音楽家という意識があまり無いのはそういう事からかもしれません。
アルバムについて言えば、よく夢を見る事が多くて、夢というのは物語を行ったり来たりと場面が激しく変わるもので(自分の場合)。毎日その物語の断片を見ていると、高速で短編映画が駆け巡っている感覚に陥って、その感覚のままに作業していると、自然に様々な表情の曲が出来上がってきました。それらを集めて一枚のアルバムにまとめた時、まさに自分の夢とリンクしていて。タイトルのdream lineは”夢落ち”という意味で、現実と夢の境を行き来している事を表したいと思って出てきた言葉です。

S・ジャケットも自分が書いた絵にするかと思っていたのですが、写真がきたので少しびっくりしました。

Y・このジャケットは普段から色々な事をやっているから、このアルバムのイメージを考えた時、自然とこうなった感じだね。イメージ画は大体思い通り出来上がるし、曲を作る前も大体寒色系の曲にしようとか、暖色系のイメージにしよう、くらいは考えています。それを元にギターのフレーズだったり、ピアノの音だったりを足して曲を作っていきます。

P・最後の曲が夢から覚めた時の現実のようで、その曲がすごく明るくて、それはタッキーの今を表している様に思えて…そこに幸せを感じました。

Y・確かに最後の曲は意味が少しあって、色々な物語性を持った曲がそれぞれ、ほわーっと消えるイメージがあるんだよね。それこそ現実に呼び戻されるような…。

P・全体的に聞くと空想的で本当にファンタジーって感じがするよね。それでも、普段のタッキーの絵の世界観がすごい良く出てて、繋がりが見える。

S・パニさんのアルバムにはコンセプトなどはありますか?

P・今回のアルバムに限らないのですが、自分が鳴らしたい音は、日々の生活の中にある小さな幸せを感じ、思う事だったりします。

S・タッキーのアルバムがファンタジーを描いた作品なら、まさにこのアルバムは日常の生活を描いた作品というわけですかね。

Y・自分のアルバムは確かに絵を描く様に作ったアルバムです。

P・ギターは何色?

Y・そこら辺は突っ込まなくてよい。(笑)

P・ドラムは・・・

Y・感覚的な話ですよ!(笑)音って抽象的なので。

S・タッキーは絵を描く様にと言いましたが、パニさんはどのように音作りに向き合っているのですか?

P・音に関して言えば、自分がギターを弾く時に1番気持ち良く感じられるのは、かすかに聴こえるくらいの音で弾いた時で、その音をCDでも再現したくていつも試行錯誤しています。自分が気持ちよいと感じる音が、マイクで録音してスピーカーで鳴らした時に、同じように聴こえるとは限らないので。今回のアルバムは機材面でも恵まれた環境でレコーディングさせて頂いたので、自分の求める音に少しだけ近づけたかなと思います。
作曲をする時はひたすらギターを弾いて、良いと思ったフレーズはどんどん録音して、後で聴いても『やっぱり好きだ』と思った物を膨らませていきます。
I’m homeの時はギターが軸である事には変わらなかったけれど、作曲と編曲とミックスが同時進行で行われていました。空間演出に沢山時間を使っていたと思います。
今作はメロディに重点を置いている曲が少しあったりします。メロディが頭に浮かんだ時に携帯電話に適当に歌って録って、そのメロディをギターで弾いてみて、コードをつけて…。それも、後で聴いて『やっぱり好きだ』と思えたなら、そこから膨らませていく。

S・あ、俺もよくそれある(小瀬村)。料理作ってる時とかね。

P・料理作ってる時はあまり無いけど、きれいな景色を見てるときとか、逆に何気ない、いつもの景色を見てる時とかかな。

Y・作風的には『3月が眠る』の延長的な感じだよね。

P・確かに。I’m homeでは機械の決められたテンポに頼ったからなのか、完全には自分のノリが出ていなかった。うーん、なんと言うか楽器の魅力を生かしながら個性を出すアーティストさんを見てきて考えが変わったというか…。手癖を出し過ぎて曲作りをするのはあまり良くないかなと思っていたのだけど、今は手癖を活かしつつ曲を作ろうと思っていて。それが1番自分らしさが出るのかなと思う。そんな事言いながらも最初からずっと手癖になってるとは思うんだけど(汗)、 好きな音だけを鳴らしていると自然とそれが手癖になっているから。自分のノリだったり手癖だったりが感じられるアルバムを出そうと思って作ったアルバムが『3月が眠る』だからね。作風は今作にかなり近いと思う。

Y・俺の場合、音を足していくのに苦労しているけど、むしろパニさんは削る作業が大変そう。

P・あー、確かに。完全にギターだけのアルバムでは無いけど、確かに一番聞いてほしい部分はギターなので。タッキーの場合は曲全体を聞いて欲しいっていうか、パレットに出す音色の一部がギターなのかもしれないけど。

Y・ギターだけって限定は、俺にはないしね。

P・自分は本当に逆にギターだけって部分にどんどん進みたいな。I’m homeから根本は変わってないと思うんだけど、時間が経てば考える事も、聴く音楽も変わるから、自分自身が変化していく中で音楽も変化するのは至極当然な事だとは思うけどね。

Y・ギター1本、流しみたいでかっこいいね!(笑)

S・録音で聞かせるより演奏で聞かせるスタイルに近づいてるって事ですかね。

P・そういう事かもしれませんね・・・まだまだなんですけどね。(汗)

S・なるほど、ではここら辺でお互いのアルバムに対しての感想を頂いても宜しいでしょうか?

Y・今までパニさんのやってきた音楽、これからやっていきたい音楽。出会ってから核となる部分は変わっていない気がします。でもそれがより明確になっていて凄い進化しているのが伝わりました。
パニさんのテーマである日々の生活から影響のことだったりギターへの愛をストレートに感じることのできるアルバムです。これだけシンプルに響くのはやはりメロディー良いのと音の肌触りがとても心地良いことだと思います。自分にはまだこれだけ突き詰めてできていないので羨ましい(笑)まさに職人なんだな~って思いますね。耳が幸せ、心はホッコリ。

P・出会ってからずっと思ってた事なんですが、音色だったり音の組み合わせ方だったりフレーズだったり展開だったり、毎回なんでタッキーはこんなに良いものが思いつくんだろうって嫉妬していました。(笑)
タッキーの作品は今回が1st albumになりますが、自分はこのアルバムを10年くらい待っていました。まさに待望です。タッキーの内にある独特の世界観が1枚に詰まっていると思います。このアルバム面白い。

S・では最後にSCHOLEのタイトルの中で2人が2タイトルレビューを書くとしたらどのタイトルにしますか?そのタイトルについてレビューをお願いします!

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P・Afterglow
アルバム全体としては意外とシンプルなのですが、だからこそ一つ一つ鳴っている音が心に響きます。2人が織り出す音にそれぞれ特徴があり懐かしい感覚や新鮮な感覚がとても丁度良い具合で混ざり合っていて、ざらついているけど艶があるという新しい感覚を感じさせてくれました。いつも聴いているとセピア色の映像が段々と滲んだ色に覆われていくのが思い浮かびます。

 

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Y・I’m home
パニさんの音をそれまで聴いていてギターがとても瑞々しい印象でした。楽曲から伝わる温もりは輪郭も淡い印象で。アルバムのアートワークを頼まれて迷わず水彩絵具で描きました。パニさんの生活からの影響や遊び心がギュッと詰まったアルバムで、流れ出ていく音が穏やかな気持ちにさせてくれます。お気に入りです。

 

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Y・note of seconds
このアルバムが音楽作品で初めて参加した作品です。自分では少し癖ある曲だなと思っていたんですどね。(笑)でも、アルバムを通して聴くと作っていた時の音とまた違って聴くことができたんです。不思議です。これだけ色々な音が鳴っていて心地よく聴けるアルバム。今までの出会いが繋がっていき感謝の気持ちも込めて形となった大切な一枚になりました。

P・note of seconds
scholeの作品には沢山関わらせてもらっているのですが、その中でもこの作品は、scholeを通して出会えた仲間が沢山集まって作る事の出来た作品。自分の作品同様に思い入れがあります。scholeに関わる人達が音楽を通して伝えたい事、それを感じ取れる作品だと思います。

S・本当に今回はどうもありがとうございました!!