瑞々しくてほんのり甘酸っぱい 「歌と音楽」 が潮風の匂いとともに “mamerico” インタビュー
2011年に9月に1stアルバム「minuscule」をSCHOLEよりリリースしたmamericoの2人。maya(作曲・ヴォーカル・ギター)、kazuma yano(作詞・デザイン・プロデュース)に加えて、スウェーデン人のSSW、ヨハン・クリスター・シュッツをプロデューサーに迎えたデビュー作はジャズを基調にした、ゆるやかなアコースティックワールドに、ブラジル音楽、ラテン音楽などが丁寧にブレンドされた透明感溢れるサウンドに仕上がった。今後ますます注目が期待される、極上うたたねゆるゆるユニット mamerico に話を聞いた。
1.自己紹介を御願いします。
maya : mamericoの作曲と歌を担当しているmayaです。ギターは主に作曲時に使用するくらいで、ライブではたまにしか弾いていません。奈良の田舎でひっそり暮らしています。
yano : mamericoで、ユルユルうたたね音楽の歌詞を書いています。音作りをしないのに、メンバーです。
2.アルバム収録曲の解説、エピソード等を伺っても宜しいでしょうか?
waltz for hulot ユロのワルツ
maya : もともとワルツのリズムが大好きで、このアルバムも半分くらいがワルツの曲になっています。中でもこの曲はジャズワルツのような少し跳ね感のあるリズムの中でゆらゆらと気ままに踊っている姿をイメージしながら作りました。「ぼくの叔父さん」は音楽も含め大好きな映画だったで、ユロ氏が突然歌詞の中に現れてきた時は本当に嬉しかったです。あまりにぴったりすぎて。そしてヨハンさんのアレンジも私が描いていた世界観をちゃんと表現して下さっていて、初めて聴かせて頂いた時は感動で胸がいっぱいになりました。。
yano : 「や~めた」と投げ出した瞬間に、ポロポロ言葉が出てきました。ボツ寸前だったのに、なぜか1曲目。
oyasumi おやすみ
maya : この曲はもう3年くらい前になりますが、mamericoが結成して始めて出来た曲です。ギターも始めたばかりでコードも怪しくて。確かイパネマの娘が弾きたくて猛練習していた頃です。自分の作った曲に歌詞をつけてもらうことも初めてで、oyasumiは人と共作する面白さを知るきっかけになった曲です。解釈の違いを楽しむことで可能性は無限に広がるんだなぁとか、そんなふうにぼんやりと考えていた事を覚えています。
yano : 最初に作った曲です。昼下がりのうたたねをテーマにしました。
okiniiri お気に入り
maya : 最初は勢いのある軽快な4ビートの曲にしようと意気込んでいたのですが、私のギターの腕ではそれが表現できなくて。4つ切りが弾けないので2ビートにしてデモを送ってみたんです。そしたらあんなにキュートなアレンジで仕上げて下さって。とっても満足しています。イメージを伝えるには腹八分目がちょうど良いですね。お気に入りです。
yano : うっかり宇宙人のなわとびを想像して、ふいに生まれた曲です。ちょっと切ない想いも込めています。
snowdrop スノウドロップ
maya : ただひたすら温もりが感じられるような曲にしたいなぁと思いながら作った曲です。たぶん、とっても寒い冬の日に作業していたからだと思います。。
yano : 温かい冬の部屋。とある映画がモチーフになっています。
kirari futari きらりふたり
maya : この曲も3年くらい前に描いた曲です。フィードバックされた歌詞の中に”好きだから”という言葉が入っていて、恥ずかしくてどうしても歌えずお願いして変えてもらったという思い出の曲です。でもそれも3年経てば、恥ずかしいと思っていた事の方が恥ずかしくなってしまいました。笑
yano : 終わりある旅の曲です。歌詞を何度も書き直しました。
a border 国境線
maya : この曲はリズム遊びによって出来た曲です。もともとブラシでスネアを擦る音が好きで、色々聴いたり、家で段ボールの上で真似をしながら擦ったりして遊んでいたら16ビートのリズムがすごく心地よく感じて。その上にブラジルテイストのある大らかなギターのリズムを重ねてみたらどうなるだろうかと試してみたらまたそれがすごくしっくりきたというリズム遊び中心の曲です。なのでコードは2つしか出てこなかったんです。
yano : 夢の中で、鳥のように空を飛びながら書いた曲です。
tricolore トリコロール
maya : 恋の映画をよく観ていた頃にできた曲です。でもハッピーエンドのものは少なかった気がします。
yano : とある広場に佇む一本の木を眺めながら書きました。おじさんが枯葉を箒で集めていました。
natsu no stole 夏のストール
maya : とてもシンプルな曲なので言葉選びが難しいだろうなと思っていたのですが、ヤノさんがさらりと上手く表現してくれたのでとても歌いやすかったです。
yano : 終業式の帰り道を思い出しながら…
3.このアルバムを制作する上で意識していたこと、楽曲制作時にイメージとしてもっていたものはありますか?
maya : 最初のアルバムなので極力シンプルに、あとはのんびりゆっくり作っていたので季節感を感じてもらえるようなアルバムにしたいと思っていました。
yano : 制作当初、作品にするという目標はありませんでした。なにも意識せず、心赴くままに制作していました。その頃から、当時ストックホルムにいたヨハンにアレンジを依頼していました。よく引き受けてくれたなあ、と思います。制作時に、ちゃんとなにかをイメージできるようになりたいです。
4.制作環境を教えて下さい。また、制作時に苦労した事はありますか?
maya : 作曲も歌の録音も全て自分の部屋で作業していました。生来のナマケモノなので作業がはかどらず作業がなかなか進みませんでした。
yano : だいたい、ゴロンと横になって歌詞を書いています。眠ってしまうことがほとんどです。ただ、「a border 国境線」は、夢の中で書くことができました。それからは、夢スタイルでいこうと積極的に眠っているのですが、あっさりと朝を迎えてしまいます。苦労したことを書くと、解散の危機を迎えてしまいます。辛いときは、「バーロー岬!」と海に叫んでいました。
5.今回の mamerico さんの作品はscholeにとって初の歌モノのリリース(初のデモ音源からリリースした作品でもあります)になりましたが、作品をリリースした今のお気持ちをお聞かせ頂けますでしょうか?
maya : 音楽への深い愛情が感じられるscholeさんのもとでリリースができ、とても幸せに感じております。
自分達の作品を大事に扱って下さって感謝しています。
yano : scholeさんはきっと無理だろうなあと思いながらも、最も望んでいたレーベルだったので送りました。音楽を彩るデザインやムードは、作品においてとても重要なエッセンスだと感じています。scholeさんの諸作品には、その音楽だけではなく、レーベルとしての質感、そして強い存在感があります。そういった全てのエッセンスが、音楽そのものだというscholeさんの想いが伝わります。ゆえに一見異なるジャンルに思われるmamericoの音楽も、違和感なくscholeさんの世界に佇むことができているのではないでしょうか。mamericoの音楽を、素晴らしい空気感でそっと包んでくださったscholeさんには、心から感謝しています。
6.影響を受けた音楽、好きな音楽は何ですか?
maya : 古いジャズや映画音楽。ブラジル音楽など。
yano : 影響を受けた人は、マイルス・デイビスと谷川俊太郎さんです。朝に聴きたくなる音楽が好きです。
7.最後にリスナーの方にメッセージを御願いします!!
maya : mamericoの音楽を聴いて下さって本当にありがとうございます。この慌ただしい世の中一瞬でも一息ついてもらえたら嬉しいです。ユルユル活動していますので、どうぞ気長にお付き合い頂ければ幸いです。
yano : 何度も聴いて、何度も眠ってください。夜はもちろんですが、食後の昼下がりが特にオススメです。
mamerico
2008年初夏、「ユルユル」をキーワードに結成。 ベースとなるジャズ、ブラジル音楽、ラテン音楽などにヨーロッパ的シエスタ感と日本的週末感を添える。日常にある小さな出来事、心情をテーマにしたmayaの作曲、kazuma yanoの作詞が基本スタイル。 初作品は、北欧スウェーデン人 johan christher schütz をプロデューサーとして迎えSCHOLE RECORDSよりリリース。